高血圧は、原因となる病気が特定できない本態性高血圧と、腎臓病、内分泌異常、血管異常など、原因となる病気が明らかな二次性高血圧症に分けられ、本態性高血圧が大部分(90%以上)を占めます。ここでは、本態性高血圧について説明します。
血圧とは、心臓から送り出された血液が血管壁に対して示す圧力のことです。血液は心臓が収縮した時に送り出され、拡張時に心臓に戻ります。心臓が収縮した時の血圧を収縮期血圧(または最高血圧)、心臓が拡張した時の血圧を拡張期血圧(または最低血圧)といいます。
長期の高血圧によって、動脈硬化を引き起こす可能性が高くなります。また動脈硬化が進行すると、眼底出血による視力障害、脳血栓による手足のしびれ、冠動脈硬化による胸痛、不整脈、腎硬化症などが起こります。
糖尿病は、食事で摂った糖をエネルギーに変えるときに必要なホルモンであるインスリンの異常から起こる病気です。インスリンの産生や分泌が不足したり、インスリンが十分に働かなくなると、血液の中にブドウ糖が溜まり糖尿病の状態となります。
糖尿病を放置しておくと、網膜症、腎症、神経障害などの合併症が起こります。食事療法や運動療法、薬物療法などをきちんと行い、血糖値をうまくコントロールして合併症を防ぐことが重要です。
高脂血症(脂質異常症)とは、血液中にコレステロールや中性脂肪などの脂質が異常に増加した状態をいいます。
長く続くと動脈硬化が生じ、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、 閉塞性動脈硬化症、肝機能障害などの病気を起こします。
当院では血液検査のほか、患者様の症状に応じて腹部超音波検査や動脈硬化検査(血管年齢検査)を行い、投薬・治療をすすめてまいります。
痛風とは、血液中の尿酸値が高い状態(高尿酸血症(こうにょうさん けつしょう))で、足の指や足首、膝などに起こる急性の関節炎です。飲みすぎ、食べ過ぎ、ストレスなどが原因の生活習慣病とも密接に関係しています。
睡眠障害の病気のひとつで、心筋梗塞や脳卒中などの発症率が2倍になるとも言われる怖い病気です。
無呼吸(10秒以上の呼吸停止)をひと晩7時間の睡眠中に30回以上、あるいは1時間当たりに5回以上起こす病態を指し、夜間の低酸素状態は、高血圧、糖尿病、心臓疾患、脳卒中などの生活習慣病とも密接に関係することから、今後、健診や人間ドックでも導入が推進されることが増えると考えられています。
睡眠中に無呼吸を繰り返し、睡眠の質の低下をきたし、その結果、日中に眠くなる、熟睡感がないなどの症状を呈する疾患のことです。
集中力が低下するために、仕事の能率も悪くなり、交通事故の原因にもなります。
労働災害をまねくなどの社会問題に発展することも危ぶまれます。
以前は入院検査が必要でしたが、今は自宅で睡眠時にに検査ができるようになりました。
睡眠時無呼吸症候群かどうかを確かめるには小さな検査装置をつけて眠るだけ。
簡易検査なら自宅で可能です。
※思い当たる方は睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
検査には自宅でできる簡易検査と1泊入院検査がございます。
簡易検査 | 費用:約3,500円(3割負担の場合) |
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小さな簡易型検査装置をつけて眠るだけ。睡眠の質や睡眠中の呼吸状態を調べる終夜睡眠ポリグラフィー検査(Polysomnography)を行います。
ひと晩測定し、検査機器を医療機関に返却(宅配)すれば検査完了。
重症は上記の簡易検査でわかるが、軽症~中等度のSASのレベルの診断は1泊入院で詳しく調べます。費用は入院した医療機関により異なりますがおおよそ4万円~7万円程度です。
どちらの検査を行うかは診察時に睡眠障害の症状をうかがって医師と相談の上、決めますが、まずは治療ハードルの低い簡易検査から始める方が多いです。
検査の結果、重症無呼吸の場合は保険適用の治療になります。
治療の第一選択は睡眠時にCPAPシーパップという無呼吸予防マスクをつけることです。(持続陽圧呼吸療法)
寝るときに、気道に酸素を送り続けることのできるマスク(CPAP機器)を装着します。
使い続けることで症状が軽減、高血圧や糖尿病の数値が改善するケースも見られるほか、心筋梗塞や脳梗塞の発症予防につながります。
導入後は1ヶ月に一度の通院が必要です。
費用 | 1ヶ月 4,750円程度(自己負担3割の場合) |
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以下の4条件をすべて満たして医師が必要と認めた場合、一定期間の禁煙治療の受診に保険が使えます。
禁煙治療(自己負担3割として)は、処方される薬にもよりますが8~12週間で12,000円~19,000円程度です。
参考 | 1日1箱喫煙する方の、8~12週間分のタバコ代>保険診療で禁煙治療を受けた場合の自己負担額と治療代の方が安くなる計算になります。(詳しくはお問い合わせください。) |
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保険治療の一例となります。ご参考にしてください。
治療法の説明、ニコチン依存度、喫煙状況、喫煙の関心度などのチェックを行います。その後、呼気中の一酸化炭素濃度の測定、禁煙開始日の決定等を行い、禁煙補助薬の処方を受けます。
初回から2週目に再診し、喫煙状況の問診を受けます。呼気中の一酸化炭素の測定を行い、禁煙補助薬の追加処方を受けます。
4週目、8週目の再診でも、呼気中の一酸化炭素の測定とともに、離脱症状の確認や対処法のカウンセリングや治療を行います。
12週目の再診が最終回、治療終了です。禁煙に成功していれば、そのまま禁煙を継続するためのコツを理解します。※保険で認められる通院回数は初診含めて計5回、 期間は約3ヶ月です。
高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の改善にはタバコをやめ禁煙し、食生活を改善するなどの生活習慣を改めることが欠かせません。
なかでも、禁煙の効果は出るのも早く、喫煙歴が長くても以下のような効果が現れると言われております。
「自分は喫煙歴が長いから、今さらタバコをやめても意味がない」
とあきらめずに、まずは禁煙することから始めてみませんか?
1年禁煙できたら⇒冠動脈疾患のリスクがほぼ半減します
15年禁煙できたら⇒冠動脈疾患のリスクが非喫煙者と同等まで下がります
(動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版より)
※冠動脈疾患とは心筋梗塞や狭心症のことです。